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親の死を迎えるIZAという時に(2)親に「ハイレゾ」の歌謡曲を聞かせてみたら!?

投稿日:2018年8月28日 更新日:

飯でも食いながらなのか、酒でも飲みながらなのか、どんな形であれ親との話に導入は必要だ。雰囲気作りに絶対のオススメは「ハイレゾ」の歌謡曲である。

「ハイレゾ」とは、CDの約3倍から6倍のデータ量を持つ音源データのことを言う。CDと何が違うかというと、臨場感や立体感音のまろやかさなどである。要するにマスターテープ並みのデジタルデータということだ。そこに人が立って歌っている感じとか、気配とか空気感とかそんなものが入っている。録音データにはそんなものが本来入っているはずなんだけど、CDなどのメディアに入れるため、一定のデータ量にするために「人の耳が聞き取れない」音域のデータをカットしたり、圧縮したりすることで、劣悪な音源のみ存在するのが今。サンプリング周波数とか、ダイナミックレンジ、非圧縮音源など、難しい話は山のようにあるが、ここでは触れないので興味のある人は調べてみてほしい。

ハイレゾとは?

さて、「高齢者」に昔の歌謡曲を聞かせると「ハッ」とするのだが、さらに”いい音”で聞かせると、反応はより明確になる。ちなみに私は自分の母親で実験してみた。テレビで今の布施明(1947年12月生70歳)が「シクラメンのかほり」(1975年4月リリース)を歌っていたが、母親の反応ゼロ。そこで、当時モンのマスターテープからハイレゾデータ化したデジタル版「シクラメンのかほり」(96khz 24bit)を聞かせたところ、20代後半の母の当時の記憶や、当時の父の話を嬉々として喋り出した。今モンの70歳の布施明の歌声と、20代のハリとツヤのある歌声。うちの母親は明確に後者に反応を示したのである。

石原裕次郎「銀座の恋の物語」。まさに名曲。映画も良かった、らしい。

この現象は、私がこれまで数多くの高齢者施設で行ってきた「ハイレゾ」試聴会でみてきた現象だ。理由やエビデンスなんてよくわからないが、多くの高齢者が「ハイレゾ」の「当時モンの歌謡曲」に反応したのだ。美空ひばりの「柔」とか舟木一夫の「高校三年生」や「銭形平次」、尾崎紀世彦の「また会う日まで」などは高齢者がハッとする瞬間を目にすることができる。

この時代に「なぜ」! 10~20代も夢中の歌謡曲

https://diamond.jp/articles/-/15507

 

1967年ヒットの「ブルーシャトウ」。今から51年前。当時20歳の人は今は71歳だ。

介護施設で、西田佐知子の「アカシアの雨がやむとき」をかけた時多くの高齢者が歌い出した。家族の顔すら忘れた認知症の高齢者が歌うのである。もちろんディテールは間違ったりするのだが、歌い出しとサビの部分はしっかり歌う人が多かった。介護士から「普段みんなで童謡を歌っているので、童謡をかけてください。」と言われた。それをあえて「昭和歌謡」をかけまくったところ、いつもと全く違う反応があったのだ。童謡をかけてほしいと依頼した介護士は皆目を丸くしていた。

そもそもそんな高齢者に「今を生きろ」というのはあまりに酷ではないか。活躍できない高齢者の自分がいる現代。「戦争を知らない子供たち」だった人たちが高齢者になる。「いい大学に行っていい会社に入ること」や「嫌なことでも続けること」が評価された世代が「好きなことをやっていい」そんな未来が現れるよ、と言われたところで「好きなこと」自体を見つけにくい。そもそも「好きなこと」をやる訓練がされていないのだ。となれば安易かもしれないが、自分的「過去の栄光」の記憶の中で「メモリーサーフィン」する方が楽しいに決まっている。そうなると、過去に「トランス」するきっかけは「ハイレゾ」の「昭和歌謡」である。既知のコンテンツで「高品質」という未知の体験が、若かりし青春の日々に自らをトリップさせるのである。

頭がスッキリしたところでそこから始まる子供や孫たち「遺族予備軍」との未来の話。過去の栄光話に付き合いつつも、しっかり聞いてあげるスタンスを持てば、これからの話をするきっかけを持つこともできる。「老老介護」で消耗戦に入る前に、高齢者の尊厳を「昭和歌謡」て作ってあげる。若い頃にやりたいことも顧みず、いわゆる「真面目に働く」ことに邁進してきた高齢者を認めてあげることが最初のステップだ。そのきっかけとして「ハイレゾ」の「昭和歌謡」。ぜひトライしてみてほしい。

ハイレゾ音源の購入はこちらがおすすめ

オンキョーが展開するハイレゾDLサイト

http://www.e-onkyo.com/music/

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