HANADASOUPROJECTを構築して行く中で、コンセプトづくりが非常に重要だった。デザイン性が高いゆえに、コンセプトの根拠がないとただかっこいいだけのモノになってしまい、陳腐化・コモディティ化してしまう。古いマンションの内装をやりかえるだけで付加価値がつくものでもない。近年のいわゆる「リノベーション」もどき物件の増加に伴い、コンセプトワークを全く行なっていない企業・オーナーは多く見受けられる。
アンティーク建材を利用して、「古い」=「かわいい」の価値基準を構築し、そこに「若者」と「高齢者」のコミュニケーションを肉付けすることで少子高齢化問題、空き家問題の解決方法に一つの提案をすることができた。コスプレカルチャーの紹介という部分も加えると地域活性化、インバウンド獲得のための資源にも対応することができる。
美容系専門学校の学生寮の内装を受注したことがあった。花田荘はもともと某美容専門学校からも近く、ここの生徒さんに住んでいただけたらという思いもあった。その専門学校の寮を運営している会社に花田荘を見学してもらった。学生寮の中に「カット練習室」があるのだがこれをなんとかしたいとのご相談いただいた。この部屋はあまりに殺風景なため、ビジュアル的に映えるお洒落な「カットルーム」に変貌させることで生徒さんのモチベーションアップ、さらには入学者・入居者の増加を目論んだ。専門学校も御多分に漏れず少子化の大きな流れを受けているなかで、お洒落なカットルームの存在が入居の下げ止まりとなっている。見学者の多くがこのカットルームに感動していると聞くと、非常に嬉しい。
寮ができた当時からカットルームは存在していたが、利用がテスト前や国家試験前に限られることという理由だけで、寮関係者の物置や宿泊場所(布団が置いてある)自転車置き場(これはひどかった)となっていた。
大人の企画力不足と都合のいい解釈で陳腐なもの、取るに足らないものになってしまうのは本当に目が当てられない。コンセプトワークとコスト意識のない大人が生み出す負の産物は、これからの若者の「希望」に大きく足かせをつけてしまう。いわゆる「大人」が「若者」の「希望」を摘み取る行動をするのであれば「若者」はそこに立ち寄らなくなるどころか、対立するものとして「告発」をしていくだろう。「年長者」の都合が砂上の楼閣であることに気がつかないと、全てが水に流されてしまうのである。