HANADASOUPROJECTには、多くの「共感」がある。
デザイン的に意図的に作ったもの、偶発的にできたもの、自然発生的にできたもの。「住む人」「遊びに来る人」「通りがかりの人」全てがなんらか感じる共感を作りたいと思った。
「花田荘」という名称については、日本的定義の木造アパートへの反抗心から、「花田荘」そのままにした。何より「花田荘」の名称と現物のビジュアルのギャップを訴求したかった。そもそも、「〇〇荘」とか「〇〇アパート」と言われるもののイメージがネガティブすぎる。googleで検索したら、すごいのがいっぱい出てきた。ネガティブ意識の集合体か?と思うくらい、「荘」や「アパート」に対してのイメージが悪い。
好きな漫画に福谷たかしさんの「どくだみ荘」というのがありますが、そんなステレオタイプなイメージだと思う。子供ながらに「この漫画は大人の世界だ・・・」と思ったものである。手塚治虫さんや藤子不二雄さんなどが青春時代を過ごした「トキワ荘」といえばクリエイティブで、大志を抱く人間の集合体をイメージする、一方で「どくだみ荘」は、人生の吹き溜まり。子供が遊びに行きにくい場所を強くイメージさせた作品だった(気がする)。因みに「独身アパートどくだみ荘」の英訳がDOKUDAMI TENEMENT(借家)となっているのは興味深い。
どくだみ荘はデカダンスの香り、、。
そしてデザイニングは、象徴的、かつ外部発信力のあるものを意識した。さらにデザイニングを「かわいい」という感覚にのみ依存しすぎると、半数住んでいる「高齢者」が置いてけぼりになる。若者向けのコンテンツのみで企画した際、もともと住んでいた「高齢者」がこれまで以上に心を閉ざした、という話もよく聞く話だ。そっとしておいてほしい、関わらないでほしい人に、笑顔全開のこってりした企画は消化不良を起こしてしまう。胃の丈夫な人や酒の強い人は、胃弱で下戸な人の気持ちを理解し難いものである。
そこで、HANADASOUPROJECTでは、全世代に共感できる要素を効果的に置くことが必要と強く感じ、階段の踊り場に四つ葉のクローバーの鏝絵を描いてもらった。本当は、散々職人さんが思い悩んで「これだ!」と思ったのがこの四つ葉のクローバーである。レトロさすらあるロゴマーク。今回のリニューアルで製作された。結果、住んでいるおばあちゃんがこれを見て喜んでくれた。四つ葉のクローバーの花言葉について熱弁(毎回言ってる内容が若干変わるのだが)するのを見て、受け入れてもらったと感じることができた。
次は、機能性に共感をもたせた事例を紹介していきます。