以前の投稿で、「古い」=「汚い」のロジックについてお話をした。
「汚い」と入居が減るので、綺麗にしましょう、新しくしましょう。
指定の業者が新品同様にします、そしたらいつまでも入居がありますよ、
そしたら30年くらい一括して借り上げてもいいです。
それをやらないと、家賃を下げるしかないですね。
難しい契約書には、だいたいこういう事が書いてあるので、アパート経営を
検討されている方は情緒的にならずに、しっかり読みこんだ方がいい。
HANADASOUPROJECTのロジックもいたってシンプルだ。
「古い」=「かわいい」
これだけ。
自分の記憶では、いいものは全て「新しい」ものだった。
家族で外出するときは「新しい」よそ行きの服を着ていった。
小学校の遠足の時は「新しい」靴を用意してもらい、痛くて歩けなかった。
新しい車や新しいペット、「新しい」何かがやってくることが
わかりやすい人生の刺激だった。
自分の親が戦後世代とか、給料が倍々ゲームで増える世代だとか
そんなことも背景にあったと思う。
今の若い人たちは「新しい」「古い」の基準が希薄になっている。
「便利」か「不便か」の議論もない場合がある。
(ネット環境などは最新を求める傾向はあると思うが)
要は「かわいい」である。
自分の解釈では「かわいい」は、モチーフがなんなのかはわかるが、
ちょっとした見慣れなさを感じて、それが違和感ないこと、である。
そこでHANADASOUPROJECTは、建物にアンティークの建材を持ち込んだ。
室内のドアをアンティークのドアに変え、壁をアンティークの木材で貼った。
屋内照明をエジソン球にして、キッチン周りにはトタンを貼った。
もともと店舗づくりのノウハウがあり、アンティーク建材を使って
店づくりする実績があった。
全てアメリカの100年くらい前の家屋を解体して、日本に持ってきたものだ。
これらが花田荘を埋め尽くした時おかしな現象が起きた。
みんながかわいいと言い出した。
若い世代だけでなく、年配の方も。
しかももともと花田荘にあった「古くて汚い」窓やベランダも「かわいい」と言い出した。
「花田荘」の古いもの→約40年
「アンティーク建材」→約100年
「住んでいる人」→60年から80年
一番古いものが「かわいい」を作り、「汚い」は何処かに行ってしまった。
花田荘が出来上がり、1ヶ月以内に全部屋入居が決まったことで
「古い」=「汚い」→入居が減るというロジックは
「もっと古い」=「かわいい」→入居率100%になる
に変わった。
旧態然とした「仕組み」を脱ぎ捨てて、新しい価値観を取り入れれば、
人は集まって対価を払ってくれる。近年ニュースを賑わしているのも
この手の話題ばかりなのにみなさんお気づきだろうか。