hanadasou

高築年アパートの今(3)HANADASOUPROJECT お年寄りの話をまず聞く

投稿日:

近年「老害」という言葉が出てきて、

「若者」VS「高齢者」の図式があらゆるところに見て取れる。

タチの悪い「高齢者」が権利と金を独占し、若者がネットで晒しものにする。

もちろん、全てがこの構図というわけではないだろうが、

VSの構図に対しての対案はあまり見受けられない。

いろんな人の話を聞くところからスタート。どう住んできたのか、

これからどう住みたいか。

お年寄りは「もうすぐ死ぬから」と思考停止になりがち。

これを一緒に考えてみる。

住んでる人の話を聞くことから。

HANADASOUPROJECTでは、まずお年寄りとの会話から初めてみた。

徹底して聞き役に回り、昔話や苦労話を「たらふく」聞いた。

面白かったのは、お隣に「当り屋」が引っ越してきた話。

ずいぶん前話で苦労話なのだが、結構面白い。

当り屋が電話で「加害者」を恫喝している声が昼夜分け隔てなく聞こえてくる。

木造でちょっと壁が薄いので、非日常的でストレスフルな音は耳に入ってしまう。

若い男女、どうも日本人ではなさそう。聞きなれない言語が飛び交っている。

こりゃ関わらない方がいい、でも退去してもいくところがない、

管理会社に連絡したらモヤっとなだめられて終わってしまった。

とそんなある日、当り屋の階下に住んでいた住民がクレームを言いにいったそうだが、

さんざん追い回され、自分の部屋に逃げ込んだものの、当り屋が「仲間」を呼んで

アパートを取り囲んでしまった。

その住民は、隙を見て無事窓から逃げ出したそうだが、

ほうほうの体で引っ越していったそうだ。

「入居するときに審査とかないのかねぇ」

おばあちゃんがいった一言が大きなヒントだった。

こちらの物件には当初管理費が設定されておらず、

管理会社は仲介手数料しか抜きどころがなかった。

いわゆる「古い、汚いアパート」(本当は元から綺麗だったんだが)故に

安い賃料設定にしないと入居が決まらない(と思ってるだけ)。

オーナーが相談しても管理会社は話も聞いてくれない。

HANADASOUPROJECTを取材に来てくれた20代前半の青年が言っていた。

「僕はもともと田舎暮らしで、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒だったから

隣に住んでたり話をすることなんて抵抗ないんです。

知らないおじいちゃんやおばあちゃんでも気にならないですね。」

「若者」VS「高齢者」の構図が煽りかどうかは別にしても、

こんな若者を見つけて住んでもらえればいいのだ。

もともと6部屋くらいのアパートなんだから、3人くらい見つけてくればいい話だった。

次回は、「若者」の心をくすぐるデザインについて。

「古い」=「汚い」のロジックをいかに転換させたかをお話ししたいと思います。

-hanadasou
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

高築年アパートの今(8)HANADASOUPROJECT 人が集まる場所作り

102号室のヤマダさんがお亡くなりになって、近所に住んでいた親戚の方が退去の手続きをされた。確か、弟さんが来られて遺品を整理された。 102号室は空室になった。 しばらくして、オーナーさんから電話があ …

高築年アパートの今(10)HANADASOUPROJECT 老舗の喫茶店が花田荘にやってきた!?

HANADASOUPROJECTが立ち上がって3年が経とうとする頃、花田荘のオーナーから連絡があった。花田荘に喫茶店を入れたい、とのことであった。その頃花田荘は101号室の若者が結婚をきっかけに退去予 …

高築年アパートの今(6)HANADASOUPROJECT 共感を生み出す仕組みづくりその2

前回は共感を生み出すデザイニングについて述べたが、今回は それをいかに機能に落とし込んだかについて述べようと思う。 HANADASOUPROJECTが行った機能的な共感は、 「ベンチの設置」と「手すり …

高築年アパートの今(9)HANADASOUPROJECT コンセプトのない箱は陳腐化の波に飲まれる

HANADASOUPROJECTを構築して行く中で、コンセプトづくりが非常に重要だった。デザイン性が高いゆえに、コンセプトの根拠がないとただかっこいいだけのモノになってしまい、陳腐化・コモディティ化し …

高築年アパートの今(5)HANADASOUPROJECT 共感を生み出す仕組みづくりその1

HANADASOUPROJECTには、多くの「共感」がある。 デザイン的に意図的に作ったもの、偶発的にできたもの、自然発生的にできたもの。「住む人」「遊びに来る人」「通りがかりの人」全てがなんらか感じ …

facebook