近年「老害」という言葉が出てきて、
「若者」VS「高齢者」の図式があらゆるところに見て取れる。
タチの悪い「高齢者」が権利と金を独占し、若者がネットで晒しものにする。
もちろん、全てがこの構図というわけではないだろうが、
VSの構図に対しての対案はあまり見受けられない。
いろんな人の話を聞くところからスタート。どう住んできたのか、
これからどう住みたいか。
お年寄りは「もうすぐ死ぬから」と思考停止になりがち。
これを一緒に考えてみる。
HANADASOUPROJECTでは、まずお年寄りとの会話から初めてみた。
徹底して聞き役に回り、昔話や苦労話を「たらふく」聞いた。
面白かったのは、お隣に「当り屋」が引っ越してきた話。
ずいぶん前話で苦労話なのだが、結構面白い。
当り屋が電話で「加害者」を恫喝している声が昼夜分け隔てなく聞こえてくる。
木造でちょっと壁が薄いので、非日常的でストレスフルな音は耳に入ってしまう。
若い男女、どうも日本人ではなさそう。聞きなれない言語が飛び交っている。
こりゃ関わらない方がいい、でも退去してもいくところがない、
管理会社に連絡したらモヤっとなだめられて終わってしまった。
とそんなある日、当り屋の階下に住んでいた住民がクレームを言いにいったそうだが、
さんざん追い回され、自分の部屋に逃げ込んだものの、当り屋が「仲間」を呼んで
アパートを取り囲んでしまった。
その住民は、隙を見て無事窓から逃げ出したそうだが、
ほうほうの体で引っ越していったそうだ。
「入居するときに審査とかないのかねぇ」
おばあちゃんがいった一言が大きなヒントだった。
こちらの物件には当初管理費が設定されておらず、
管理会社は仲介手数料しか抜きどころがなかった。
いわゆる「古い、汚いアパート」(本当は元から綺麗だったんだが)故に
安い賃料設定にしないと入居が決まらない(と思ってるだけ)。
オーナーが相談しても管理会社は話も聞いてくれない。
HANADASOUPROJECTを取材に来てくれた20代前半の青年が言っていた。
「僕はもともと田舎暮らしで、おじいちゃんとおばあちゃんと一緒だったから
隣に住んでたり話をすることなんて抵抗ないんです。
知らないおじいちゃんやおばあちゃんでも気にならないですね。」
「若者」VS「高齢者」の構図が煽りかどうかは別にしても、
こんな若者を見つけて住んでもらえればいいのだ。
もともと6部屋くらいのアパートなんだから、3人くらい見つけてくればいい話だった。
次回は、「若者」の心をくすぐるデザインについて。
「古い」=「汚い」のロジックをいかに転換させたかをお話ししたいと思います。