最近のDIYブームに乗っかってみる
葬儀やそれにまつわる「既存」のルールについてかなり色々と書いているのであるが、となると聞こえてきそうなのが「だったら自分でできるのかよ!?」という声。散々ケチだけつけていおて自分の周りに不幸があったらいきなり「丸投げ」にしてしまっては目も当てられない。ということで、どこから葬儀を「DIY」できるのか考察してみた。もちろん「DIY」の概念は「自分でやってみたい」と「コスト」の2本柱だ。
法律的にできること、できないことをあげてみた。日本には以下のような法律がある
墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei15/
- DIYで遺体の搬送→合法(ただし死亡診断書が必要)
- DIYで自宅での通夜→合法
- DIYで火葬→違法
- DIYで埋葬→違法
困難な「移送と保管」、そして素人では扱えない「体液」の問題
「DIY」で遺体の搬送することについては知り合いのご葬儀関係の方から「やめた方がいいですよ!」と言われた。理由を尋ねると「体液の問題」があるそうだ。死因などにもよるそうだがご遺体の内臓の状況がよくないものが多く、時間の経緯で腐敗が進行するそうだ。通常ドライアイスを大量に入れるが、「芯まで冷えない」らしく、そうなると腐敗が進行し「体液」が漏れてしまう。少なくとも故人に思いのある葬儀をしたいのなら、ご遺体を綺麗にしてあげることの優先順位は上位でなくてはならない。ここはやはりプロに任せた方がいい。聞いた話だが、葬儀会社のスタッフが病院に「ご遺体」をお迎えに行った時慰安室に行くと病院のスタッフは「完全防護」状態。礼服でお仕事をされる葬儀会社の方は白の手袋のみで「ご遺体」を納棺したそうだ。血液や体液の感染症のリスクも考えると「DIY」はもってのほかだ。
立ちはだかる現代の住居問題
何よりもマンション住まいが増えている現代、マンション規約で遺体の搬入ができないところも多いらしい。エレベーターにはストレッチャーを搬入できる構造のもの出なくてはならないし、少なくとも棺桶を立ててエレベーターには入れたくない。万が一搬入できたとしても、保冷用のドライアイスによる急性二酸化炭素中毒は死に至る場合もある。保管のために冷房をガンガンきかせておかねばならず、さらに中毒の危険性もあるとなれば「自宅」に搬入できるパターンは限定されてくる。マンションの下の階の人が中毒症状を起こした日には目も当てられない。
今流行りの「散骨」も意外とデリケート!?
死亡が確認されてから24時間は火葬もしくは埋葬することは法律で禁止されている。そして当たり前だが「DIY」で火葬は明確に禁止されている。というか庭でご遺体を荼毘に伏すのは自分でやりたいという感情にすらならない。埋葬も同様。最近散骨が流行っているが、これはどうもグレーゾーンらしい。具体的に散骨といっても「シャレコウベ」を放置・遺棄しておくのは「散骨」とは異なる。簡単に箇条書きすると、
・遺骨を骨壺から取り出して庭に埋めた → 違法(墓埋法)
・遺骨を骨壺から出して庭に撒いた → 違法(遺棄罪)
・遺骨を骨壺から取り出して粉末にして庭に撒いた → 違法にはならない
・遺骨を粉末にして山や海に撒いた → 違法にはならない
最近では散骨について条例をだす自治体も増えており、これは確認が必要である。数年前に都内で妻の遺骨をスーパーのトイレに遺棄した疑いで書類送検された男性がいる。「他人の私有地に無断で撒いた」ことや「粉骨しないでそのまま撒いた」という行為が節度ない散骨として遺棄罪と器物損壊罪として逮捕されたそうだ。遺骨を粉砕する技術問題も考えると「DIY」のハードルは一気に上がる。
散骨@マガジン
https://www.352-mag.com/index.html
では、自分たちでできる葬儀はないのか?タイトルで煽るだけ煽っておいてやっぱりできねえじゃんと言われたら、まさにおっしゃる通りだ。しかし、任せるべきところはプロに任せて自分たちでできる分は自分たちでやる。そんな方法もあり。そうなると事前準備も当然必要だし、あらかじめ自分の親とどうしたいのかを「具体的に」打ち合わせる必要がある。次回は、自分たちでできる葬儀についての事例を紹介していきたい。