突然訪れるものの中に「親の死」がある。びっくりするくらい、いきなり辛気臭い話だが、いつかはやってくる親の死。遠く離れていたり日々忙殺されていると、親の衰えに気がつかないもの。そしていつかいつかと思っているとその日がいざ、やってくるのだ。かと言ってまだ元気な親に向かって、改まって「あなたが死んだ時の話をしたい。」とも言い難いものである。相続の話や墓の問題、生きているうちに解決しておかないといけない問題は山積されているが、夏休みの宿題と一緒で、ためておくと大変なことになってしまう。
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まず親が死ぬと、葬儀のこと、親戚縁者への連絡、お金のこと(死亡の連絡をすると銀行口座は凍結される)書類関係、保険会社への連絡、携帯やクレジットカードの解約など途端に多忙になってしまう。病院で死亡したとすると、亡くなってすぐにベットを空けるように(やんわりと)言われる。決めている葬儀会社があればそこに連絡して亡骸を移送してもらえるが、今から決めるとなると驚くほど時間がない。基本的に午前中に亡くなるとその日の夜が「通夜」、翌日が「告別式」、「火葬」となる。午後だとしても、当日が「仮通夜」になり1日伸びるがさほど変わらない。お坊さんの依頼や戒名など、いくら包めばいいのか(びっくりするほど明朗会計ではない)よくわからないし、バタバタ決めたご葬儀会社とトラブルなんて話もよくある。そして告別式終了後、約3日以内でご葬儀の集金がやってくる。死んでからの忙しさが「悲しみ」を和らげてくれるならいいのだが、この忙しさはないに越したことはない。
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ネット社会の今、葬儀のあれこれを検索するのは非常に簡単であるが、ソファに座ってコーヒー飲みながらゆっくりネットサーフィンというわけにもいかない。少なくとも結婚式のような「ワクワク感」はそこにはない。要は親の死には、前々から粛々と準備するよりほかはないということである。
となると、元気な親に如何に「あなたの死について」切り出すか。「俺が生きているのに死んでからの話をするのか!?」なんてブチ切れる男親なんて容易に想像できるし、相続の話でもしようものなら「俺の金を奪う気か!」なんて事になって大喧嘩になること請け合いである。ネットにはたくさんの情報があるが、ネットリテラシーが低い「高齢者」はネットで調べることすらできないし、いまだにPCやスマホをおもちゃと思っているので普段から自分の死についてさほど考える機会もない。自分の老いや死について考えることがあっても、妙に情緒的だったり「死ぬときゃ死ぬもんだ」といった思考停止状態に陥る。こんな親を相手にするのだから事前に、慎重に取り組まないと解決しない大きな問題なのである。
親の死の当事者は親自身なのか、それとも遺族になるものたちか。どちらも自らが当事者意識を持って考える時間が必要である。親との距離感に背を向け、日々に忙殺されているといざという時にとんでもない目にあってしまうこと間違いない。