正常性バイアスという言葉があります。
想定外の出来事、災害などに対して人間はある程度鈍感に出来ていて予期せぬ変化や新しい物事に過剰反応せず、ある程度の出来事までは「普通だな。」と思ってしまう心理学用語です。
詳しくはwiki 正常性バイアス
今回は災害やサバイバル系の本からこの”正常性バイアス”について言及されている部分をピックアップしてみたいと思います。
その1
磯田道史著書 天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災
※はじめに
正常化バイアスなんて大上段に構えた私が間違ってました。
下記目次です。
第1章 秀吉と二つの地震
第2章 宝永地震が招いた津波と富士山噴火
第3章 土砂崩れ・高潮と日本人
第4章 災害が変えた幕末史
第5章 津波から生きのびる知恵
第6章 東日本大震災の教訓
筆者は「武士の家計簿」の磯田道史氏。
古文書や自身の伝聞に基づく地震、津波、高潮、土砂崩れ、富士山噴火など、歴史上の天災と人々の罹災状況を綴った内容です。
一五九六年伏見地震で伏見城が崩壊、秀吉が美女を押し込めていた長屋が全壊し、美女数百人が圧死。直後美女狩りが始まった。。(ひどい)
さて、
筆者の磯田氏は、地方に行くと僅かな時間しかなくても必ず古書店や図書館を訪ねます。(捨て目を利かせる)
例えば秋田、県立図書館内の検公文書館閲覧室。宝永四(1707)年十月四日(宝永地震の日)の記述がある日記を探します。
「あった、秋田(久保田)藩士「岡本元朝日記」!」
秋田藩江戸屋敷で幼い殿様の守り役だった岡本さんの日記です。そこには「宝永地震の克明な記述が!」といった具合です。
ファンの方から「先生、静岡の土砂災害も調べてください!」と言われて「土砂崩れって江戸時代はなんて言うんだろう?」からスタートするところなんかはもはや日本天災系の塩野七生(ラテン語の古文書的な話)。
磯田氏の母は徳島県牟岐の方で、そこは日本有数の津波常襲地。そこで筆者の曽祖父平吉さんが大変な目にあう牟岐町での被災ドキュメントは圧巻。
〜人は津波に三〇センチ以上浸かると動けなくなり、一メートル以上だとほとんどの人が亡くなる。
東日本大震災のときの津波からの平均避難速度は0.62m/s〜など政府や消防庁のデータも盛り込まれており危機の内容が大変わかりやすい。
古文書から丁寧に情報を収集、史実に基づいた秀吉〜幕末の内容はそのまま天災時代劇が作れそう。
天災の実例を古文書から紐解き現代につなげる、読者の常識を太くする一冊です。
PS
文書はきちんと残すべきだと思いました。
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